2011年10月23日

伊坂幸太郎「モダンタイムス」

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伊坂幸太郎の文庫が新しく出たのですかさず購入&読了。
位置づけとしては「魔王」の続編に当たるのですが、内容的には同時期に執筆していた「ゴールデンスランバー」に近い。

「ゴールデンスランバー」でも国家よりも大きな存在、あるいは国家そのものの意思のようなものによって首相が暗殺され、主人公が暗殺犯に仕立てられるというお話でした。
この「モダンタイムス」も、さる事件の真相を隠蔽するための仕組みに関わった主人公たちが翻弄されつつも抵抗していく、というお話です。

こう書くと権威や権力に虐げられる個人の物語、陰惨なストーリーを想像してしまいますが、そこは伊坂幸太郎。実際に残虐なシーンや犯罪行為が描かれるときもボケとツッコミ、軽妙洒脱な会話の応酬がいっぱい。
また本作に登場する魅力的なキャラクターと数々の名言は、まさに伊坂ワールドです。

しかし、主人公の奥さん、佳代子さんは何者なのか。謎です。
浮気疑惑を追及するために職業的肉体破壊者を雇って夫を拷問に掛けようとしたり、一流の格闘テクニックと残虐性と嫉妬心を持つ破天荒なキャラクターなのですが、正体は明らかにならず……。

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新書判には、挿絵付きの特別版もあったらしいです。
が、拷問シーンは勘弁。

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2011年10月17日

井上ひさし「井上ひさしの日本語相談」

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昨年亡くなった劇作家、井上ひさしの日本語本。
「私家版 日本語文法」「自家製 文章読本」は大学時代の愛読書でした。英文科でしたけれど。

この本は、井上ひさしが大岡信、大野晋、丸谷才一と一緒に、週刊朝日で一般読者からの日本語にまつわる様々な質問に答えるという形式で連載をしていたのをまとめたものです。
たまにはこういう本を読んで、日本語の養分を補充しないとどんどん日本語能力が貧弱になっていくように感じます。


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2011年10月15日

宮部みゆき「おまえさん」

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「日暮らし」「ぼんくら」に続く〈井筒平四郎〉シリーズの第3弾が出ました。
単行本、文庫同時刊行だそうです。売れっ子は違うね。

やはり宮部みゆきの時代物はいい。
本作では、弓之助の兄、淳三郎と、新人の町方役人・間島信之輔、その大叔父の本宮源右衛門も登場して、井筒ファミリーも賑やかさを増しています。
ちょっと間島の心情の描き方がクドいかなぁと思ったり、下巻の弓之助の活躍が少なめでちょっと物足りなかったり、という感想もありますけど。

このシリーズはまだ続きそうで、楽しみです。

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2011年10月08日

Peter Morville「アンビエント・ファインダビリティ」

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「見つけられない情報は存在しないのと同じ」

情報検索についてのカタイお話かと思えばそうではなく、ちょっと読み物っぽい内容でした。
ブルース・スターリングやウィリアム・ギブスンが出てくるのは、まあいいとして。
テイヤール・ド・シャルダンまで登場するのにはビックリしました。

著者のピーター・モービルは、最近wa+が勉強しているInformation Architectureという情報科学分野の著名人です。
で、今月後半からしばらく、お勉強しに行ってきます。

輪番休日から解放されたのにまたしばらく土曜日は乗れなくなります。

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2011年08月13日

清水義範「迷宮」

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清水義範の真面目な?ミステリ。
いくつもの文体を自在に操る著者ならではの作品です。個人的には叙述ミステリはニガテなのですが。

気軽に笑えるいつもの清水作品も読みたくなりました。

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2011年07月28日

宮部みゆき「チヨ子」

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宮部みゆきは久しぶりな気がします。
相変わらずこの人の短編は切れがいい。

長編もいいけれど、短編が好きです。


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2011年07月23日

米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」

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人の悪意を描くのが巧みな作家、米澤穂信の連作短編集です。
同じ時代設定で、上流社会を舞台にした5編のうち、何と言っても最高傑作は4番目の「玉野五十鈴の誉れ」でしょう。
帯の惹句のとおり、最後の1行に込められた毒があまりにも強烈です。

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2011年06月29日

上橋菜穂子「天と地の守り人」三部作

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〈守り人〉シリーズの完結編となる三部作がとうとう文庫になりました。
よくよく父帝とそりが合わない新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、帝と決定的に対立した結果、追放に近い形で国を飛び出します。
南の大陸で覇を唱えるタルシュ帝国に捕われたチャグムは、タルシュ帝国が北の大陸に侵略を計画していることを知り、船から海へ身を投げます。というところまでが前作のお話。

チャグムを探すバルサ、祖国をタルシュ帝国の侵略から守ろうとするチャグム、草兵として徴集されたタンダ、帝の神性にこだわるがゆえに非現実的な政策に傾いていく新ヨゴ皇国の朝廷で苦闘するシュガ、ナユグに起きつつある数百年ぶりの異変に対応しようと力を合わせるトロガイ師。そのほか脇役に至るまで、それぞれの人物のそれぞれの闘いが丁寧に描かれます。

感無量のエンディングです。


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2011年06月15日

仁木英之「胡蝶の失くし物 僕僕先生」

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僕僕先生シリーズの第3弾。
今度は、先生と王弁が命を狙われる羽目に。
相手は王宮の暗部を司る精鋭暗殺集団「胡蝶房」の殺し屋、劉欣。

まあ、そこは先生のことなので、そう簡単にはやられないのですが、胡蝶房の背後にいるはずの何者かを気配を感じながら、南へ向かう旅は続きます。
2巻で旅の仲間になった薄妃の恋もついに完結、とぐいぐい引き込まれます。

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2011年06月13日

パオロ・パチガルピ「ねじまき少女」

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第一長編にして、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞など、SF界のめぼしい賞をかっさらった作品。
ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」以来の快挙、と言われているそうな。

で、早速読んでみたのですが、うーん。文章が。
最近、早川は誤植が多くないか? 翻訳も少々読みづらい。

文章の善し悪しは置いておいて、これはSFというよりは、近未来小説と言った方が近いかな。
たぶん、未来世界のリアルなダメさ加減や終わった感が今の雰囲気に合っているのでしょう。
wa+はあまり楽しめませんでした。

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2011年05月25日

水野敬也「夢をかなえるゾウ」

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この本は、書店で何度も見かけて、その都度「自己啓発本か」とスルーしてきたのですが、ひょんなことから著者の水野さんのブログに行き当たり、そのあまりの面白さに、じゃあ読んでみようかと。

世に自己啓発本は多々あれど、成功した人の話はとんと聞かない。
自己啓発本に書かれていることが間違っているわけではなくて、本質を伝えきれない、読み手が理解しきれない、ゆえに人は変わらない。
というところに問題がありそうです。

この本は、インドの神様ガネーシャのハチャメチャだけど、鋭い言動を介して、そこんところをわかりやすく教えてくれます。

まあ、wa+はこの本を読んで希望をもらったとかいうことはなくて、軽い絶望とともにほんわかした気持ちも味わっているという状態です。
うーん、真実の書だなぁ、と。

超オススメですが、覚悟を決めて読んでください。

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2011年05月23日

冲方 丁「マルドゥック・フラグメンツ」

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「スクランブル」のアニメ映画化第2作目が今年の秋に公開されるそうですね。
どうもキャラクターがイメージに合わないんですが、そのうち見てみたいかも。

「マルドゥック・フラグメンツ」は、その名のとおりいくつかの断章、断片からなる短編集。
「スクランブル」や「ヴェロシティ」の前日談、後日談、ロングインタビューに未発表のオリジナル「事件屋家業」の抜粋など盛りだくさん。
そして、「スクランブル」「ヴェロシティ」に続く、待望の第3作品「マルドゥック・アノニマス」のプロローグ。こっちは発売が待ち遠しい。


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2011年04月26日

東野圭吾「流星の絆」

活字カテゴリーのポストは久しぶりだなぁ。

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東野圭吾の新刊がいくつか出ているのですが、どれもあまり食指が動かず。
新書のときに読みたい!と思ったこれだけを買いました。

過酷な状況に置かれた子供が成長して何らかの犯罪に手を染める、というのは東野圭吾の好きなプロットなんでしょうか。
ある夜、両親を刺殺された3人の兄妹は、事件から14年後、詐欺師として生計を立てていました。
時効を間近に迎えたある日、事件当夜に目撃した犯人によく似た男に出会い、真実を探るというお話。
純粋に面白かった。600ページ以上の長編ですが、一気に読み切りました。

2009年にテレビドラマになっていたらしいですが、全然見たことありませんでした。


ところで。
講談社文庫の巻末に、おもしろい表記を見つけました。

「著者は本書の自炊代行業者によるデジタル化を認めておりません」


最近、タブレット端末を中心にデジタル書籍が流通し始めましたが、「自炊」とはデジタル化されていない書籍を自分でスキャナーなどを使ってデジタル化する行為を指します。著作権上グレーな部分が残る行為でもあり、wa+などは本を裁断することに対して忍びなさを感じてしまいます。自炊代行業者は、この作業を代行する業者のことですね。面白いのは、あくまで業者を使ってやるのがNGで、個人が自分の本でやる分にはOKというところ。

こんな表記をするようになったんだぁ、とちょっと感慨に耽ってしまった一方で、「自炊」などというネット隠語にも等しい言葉が一般化されていることには少々嫌な気分になりました。



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2011年04月06日

サン=テグジュペリ「人間の土地」

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伊坂幸太郎の「砂漠」でやたらと引用の多かった、サン=テグジュペリの「人間の土地」を読みました。
第1次世界大戦後、行き場を失った航空機は、郵便輸送に使われました。戦争中にはエースとして個人が脚光を浴びたのと同じように、郵便輸送機のパイロットはあこがれの職業であったようです。
ナビゲーションシステムが貧弱なこの時代、肉眼による有視界飛行が主流で、パイロットは地上の目標物を探しながら飛んでいたそうで、天候の悪化は即、生命の危険につながります。

テグジュペリの目を通して描かれるパイロットのメンタリティ、空の上から見る地上の人々、植民地の人々、そして砂漠の真ん中に不時着してからの奇跡の生還。そこでは、人が人であるとはどういうことかが語られます。

堀口大學の少々古めかしい翻訳は、少々わかりづらく、そろそろ新訳で出てもいいかも。

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2011年03月16日

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

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これで、今現在文庫化されている伊坂幸太郎作品はすべて読了となります。
中編4編。
これまでの伊坂作品に登場した人物、エピソードとつながるさまざまな伏線が張り巡らされていて、ここまで読んできたご褒美のように感じました。
表題作「フィッシュストーリー」は、少々ストーリーに脚色を加えて映画化されているようです。


さて、これまで読んだ作品のうち、どれが面白かったかな。どれも外れがないという点はすばらしい。
長編、短編どちらも読ませるし。
最近の作品は、作風が変わってきて、受け付けない人もいるらしいですね。
文庫化されたらぜひ読んでみたいと思います。

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2011年03月09日

伊坂幸太郎「砂漠」

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またまた伊坂幸太郎。今度は、408さんがお勧めしてくれた「砂漠」です。
シンプルかつ重そうなタイトルに反して、中身は「これぞ青春小説!」ですね。
5人の大学生の4年間を、春夏秋冬の4つの季節で切り取っています。
それぞれ個性的なキャラクターの持ち主で、もちろん欠点もあるが愛すべき人物。

夏の出来事はある意味、小説内で人が死ぬよりも大きなインパクトがありました。
そしてそれをはね除けるやり方がスゴイ。

キャラクター的には西嶋くんがいいんですが、もし自分の回りにこんな人がいたら、決して友達にはならなかったろうな、と(笑)。
この小説なんかも、映像化したら面白そうですね。

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2011年03月04日

伊坂幸太郎「終末のフール」

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それでも人は生きていく。
8年後に小惑星が衝突して地球上の人間は死に絶える。
そんな事実が判明して、人心が荒廃し、5年が経過したあと、不意に小康状態が訪れる。あと3年の命。

という状況に生きる人々の群像劇が8つの短編になりました。
wa+がいちばん好きなのは、「演劇のオール」ですね。
冷静に読み返すと、そんな馬鹿な、という偶然のお話なのですが、希望のない世界にこういう偶然があってもいいな。
モスバーガーで夕飯を食べながらこの章を読んでいるときに、店のBGMにビートルズの「Golden Slumbers」が流れてきたのもとてもタイムリーな偶然でした(初めて読んだ伊坂作品が「ゴールデンスランバー」なんで)。

やっと、JUNJIさんがお勧めしてくれた作品までたどり着いたぞ!(笑)

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2011年02月28日

伊坂幸太郎「魔王」

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病院の待ち時間で読了。
全体主義というのは、何も特定の政治状況を指すものでもないのですよね。
結局、人は流されやすい性質を持つので、一定の刺激が与えられれば全体が同じ方向を向いてしまう可能性を持っているわけで。

この物語は、そうした世の流れのようなものに抵抗した、ささやかな特殊能力を持つ兄弟の物語です。
あいかわらずテンポの良い文章で読ませます。


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2011年02月24日

酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部」

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前作で三顧の礼を受けて、ようやく劉備軍団の一員となった孔明。
しかしながら、活躍の場を与えられず、無聊を託つ日々が続きます。
天下三分の計を実現するため献策するのに、劉備はまったく言うことを聞きません。いったい何がしたいんだ劉備。

そうこうするうち、荊州を治める劉表が亡くなり、ついに曹操軍の侵攻が始まってしまいます。
劉備軍団と10万人以上の難民は、果たして無事に曹操軍の手から逃れられるのか……。

とことんまでのお調子者キャラ劉備のほか、張飛、趙雲の殺戮マシンぶりがすさまじいことになっています。
スラップスティック三国志、お楽しみあれ。

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2011年02月15日

伊坂幸太郎「死神の精度」

いやー、まいった。予想外の降雪の影響で、さきほどようやく帰宅しましたよ。
帰ってくるのに時間がかかった分、本を1冊読み終えてしまいました。

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伊坂幸太郎の「死神の精度」。連作短編集です。
主人公は死神。調査部員として、下界に現れる彼は、対象者に1週間張り付いて、「可」とするか「見送り」とするかを判定します。「可」と判定された場合、8日目に対象者には死が訪れる。そういうシステムのようです。
彼が仕事をするときには、いつも雨が降っていて、晴れた空や太陽を見たことがないというのですが、こっちは雪だよ、と突っ込みながら楽しく時間をつぶしました。


ちなみに、この作品もまた映画化されているようです。
さらに、iPod/iPad用の電子書籍アプリにもなっているようです。
まあ、紙がいいよ、紙が。

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