2012年06月26日

ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎」

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ピューリッツァー賞を受賞したスゴ本です。
なぜ世界はヨーロッパから各大陸に渡った人々の子孫により支配され、その逆ではなかったのか。
アボリジニやアメリカ先住民がヨーロッパを支配することは、確かに今後もなさそうです。
そんな疑問を1万3000年の人類史をさかのぼって解き明かそうとする試み。
壮大なテーマです。
1万3000年前、氷河期が終わったころの地球上で、人類はどの地域でも同じような狩猟採集生活を送っていたわけですが、食料生産、動物の家畜化とそれに伴う病気への耐性、文字の発明、技術の発達と伝播などが地理的な環境要因によって異なることで、異なる道を歩むことになります。人種や生物学的な差異ではなく、環境要因による差異が元でこのような違いが生み出されていった過程を、様々な視点から検証します。

少々リフレインが多く、読み進めるのが大変ではありますが、知的興味をそそる重厚な作品であることは間違いありません。
歯ごたえのある本が読みたい方にオススメします。

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2012年06月09日

冲方丁「天地明察」

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「マルドゥック・スクランブル」をはじめとして、未来を舞台に戦う少女を主人公とした作品のイメージが付いている作者の、初めての時代物です。史実に基づいたフィクションの形を取っていますが、登場人物はすべて実在の歴史上の人物です。
吉川英治文学賞、本屋大賞などを受賞した作品で、一般読者層に冲方丁の名前が認知された作品と言っていいでしょう。

江戸時代、4代将軍家綱の治世。
碁打ちの家に生まれた主人公、渋川春海は、2代目安井算哲として家業の囲碁に打ち込むことを期待される一方で、神道、暦学、天文学、そして中でも数学を好んで学ぶ青年でした。この時代の数学の天才、関和孝との出会いを経て、数学の世界に没頭していく春海の元に、ある日全国を旅して各地の緯度を計測する調査団に加わるよう命が下ります。1年以上を掛けての大事業でしたが、これはさらに大きな改暦の事業を推進するに足る人物かを試すためのものなのでした。
導入後800年が経過し、誤差が生じていた暦を改めるという世紀の大事業なるか。
これまでの冲方作品とはまったく違う闘い、勝負を描いた作品です。

Wikipediaなどで史実を知ることで、暦学や江戸時代の算学について興味がわいてきますね。ページをめくる手が止まらない〜!とばかり、一気に読み終えてしまいました。

岡田准一主演で映画化されるそうですが、僕の中でのイメージは、TOYOTAのCMで大人になったのび太を演じた妻夫木聡でした。まったくあのまんまの情けない感じの主人公というのも冲方作品としては珍しいかも?

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2012年05月25日

増田宗昭「代官山 オトナTSUTAYA計画」

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今月、活字カテゴリー多めです。
この本は勉強友達に借りた本。代官山の”オトナTSUTAYA”こと蔦屋書店のコンセプトについて、CCCの社長である増田氏が自分の考えをまとめた本。
企画会社の社長だけあって、コンセプトが明快でとても理解しやすい。

「顧客の価値」を常に優先するというポリシーを創業当初からずっと貫き通してきた一つの成果が代官山蔦屋書店として結実しているのでしょう。
一度しか実店舗を訪れたことはありませんが、時間のあるときにじっくり味わってみたい空間です。


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2012年05月16日

岡倉覚三「茶の本」

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岡倉覚三「茶の本」読了。お借りした本です。この手の本は機会がないとなかなか読めない。
こういう商売にはつながらなさそうな良書を刊行し続けている出版社も偉いですね。正味80ページ程度の薄い本なのですが。
本書は、岡倉覚三(岡倉天心)が西洋人に日本の文化である茶の湯を理解させるために英語で書いた「The Book of Tea」を翻訳したものです。

この本のエッセンスを知りたければ、松岡正剛さんのWebサイトをどうぞ。

西洋人の日本文化視感について、「西洋人は、日本が平和な文芸にふけっていた間は、野蛮国と見なしていたものである。しかるに満州の戦場に大々的殺戮を行ない始めてから文明国と呼んでいる」と揶揄する1章のくだりは痛快さすら感じます。

日本語長い間鎖国状態にあったことが、日本独自の内省の美意識を育てる一助となったというのも、深くうなずいてしまいます。

今回は岩波文庫版を読みましたが、講談社学術文庫版では英語の原文も同時掲載されているとのことで原文と訳文を見比べながら読むことができます。


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2012年05月14日

ジュリアン・バジーニ「100の思考実験」

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思考実験って言葉が何だかちょっと好きです。
宇宙物理学のような実証困難な世界の法則をわかりやすく説明するための実在/実現不可能な道具立てや、「シュレーディンガーの猫」のようなちょっぴりのウィットが興味を惹きます。
wa+の好きな思考実験はこういうものです。

この本には100の思考実験が収められています。
それは、むしろ読み手に疑問を投げかけ、私たちが何となくやり過ごしている側面に光を当てるものです。
まじめにつきあって考えていると非常に疲れます(笑)。
例えば、昨年マイケル・サンデル教授の「白熱教室」で有名になった「トロッコ問題」がこの本にも含まれています。
暴走するトロッコはそのままでは40人の人を殺す。あなたが線路を切り替えれば5人が死ぬ。
さて、どちらを選択するべきか。
何もしないで40人を「死なせる」か。行動を起こして5人を「殺す」か。
みたいな話です。

ちょっとずつ無理なく読むのがいいと思います。というわけで、我が家ではこの本はトイレに置かれています(笑)。

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2012年05月12日

Jonathan Rasmusson「アジャイルサムライ 達人開発者への道」

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読みやすいアジャイル開発の解説書として人気のある本です。
読み終えたのはしばらく前ですが、先日履修証明プログラムの仲間とやった読書会の題材に選ばれたので読み返したついでに。



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2012年05月11日

宮部みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始」

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時代物+ホラー要素=怪談。
というわけで、〈霊験お初〉シリーズとは別の新しい怪談モノになります。

主人公は、自身もある殺人事件の関係者であり、親元を離れて叔父・叔母のもとに身を寄せている少女おちか。彼女が一種のセラピーとして、市中の奇談を百物語形式で聞いていくという趣向で物語は進みます。

おちかも異分子であり、異分子どうしが引かれ合うように奇怪なできごとが次々と舞い込んできます。最後は一度この世を離れて試練を乗り越えて戻ってくるという、典型的な死と再生の英雄譚の物語構造となっています。

1巻で完結してもよい気もしますが、謎を残して次作に続くようです。百物語達成まで続くのでしょうか。

個人的にはおちかの叔父である伊兵衛が一番の謎です。回収されていない伏線もあり、続編の「あんじゅう」の文庫化が待たれます。


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2012年05月08日

米澤穂信「追想五断章」

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〈古典部〉シリーズがTVアニメ化された(第1巻のタイトル「氷菓」がアニメ版のタイトルになっています)米澤穂信の作品。
結構シリーズものが多い作家ですが、これは単独作品です。

米澤作品には毒の要素が欠かせないのですが、最近はキャラクターの毒ではなく、物語自体に文学的な毒を込めるようになってきたように感じます。

アニメを見て米澤作品を読もうと思った人には、毒が強すぎるかも?

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2012年04月21日

東野圭吾「聖女の救済」

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ガリレオシリーズ。
相変わらずの面白さですが、このシリーズの主人公は明らかにガリレオこと湯川先生から、彼に協力を求める刑事の2人になってきているようです。

湯川先生は狂言回しに近い位置づけになってきました。

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2012年02月28日

小林章「フォントのふしぎ」

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これも 90 seconds で紹介していただいた本をお借りしました。
一応ライターだし、大学時代は小説誌の編集もしていたので、組版やフォントにも興味があってちょっとだけかじったこともあるのですが、やはり専門家がわかりやすく解説してくれると、眼から鱗がポロポロ落ちます。
入門編としてとてもいいですね。

ルイ=ヴィトンやゴディバなどのおなじみのブランドのロゴがなぜ高級そうに見えるのか。
ほんのちょっとした工夫で「王道感」を演出しているのですが、その理由をローマ時代にさかのぼるところとか、おおそうか!という感じです。
いろんなフォントの図版入りで、見て楽しい本です。

日本人ながら、ドイツのフォント制作会社で欧文フォントのデザイン監督をしている著者のブログも面白いです。

デザインの現場 タイプディレクターの眼

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2012年02月25日

赤木かん子「日本語ということば」

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今週からまた社会人向けの履修証明プログラムの第3部が始まり、平日2日と土曜日に学校に通っています。
このプログラムでグループワークで一緒になったメンバーと、授業の振り返りも兼ねて休日に勉強会もしているので、なかなか忙しい日々を過ごしています。
そんな勉強会で、90 seconds というのをやりました。
90秒で自分の好きな本についてほかのメンバーにプレゼンするというものです。限られた短い時間で自分の考えを相手に伝える練習ですね。

で、せっかくなので紹介してもらった本をお借りしました。
本の探偵こと赤木かん子さんの「日本語ということば」です。
「Little Selections あなたのための小さな物語」というシリーズで、さまざまな中・短編に解説を付け、新しい字体で紹介しているのですが、この本のテーマはすばり日本語。
丸谷才一や寺山修司ら、誰もが知るビッグネームと並んで、無名の小学2年生の書いた作文も収録されているのですが、この作文がとても深い内容なのです。


たまにはこうして人に紹介してもらった本を読むのも楽しいです。ほかの人が紹介してくれた本も読んでみたいなぁ。
ちなみに、wa+が紹介した本は澁澤龍子の「澁澤龍彦との日々」でした。

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2012年02月01日

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」1・2

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入院中って暇かもねと思って、ちょっと前に買って読んでいなかったこちらを持っていきました。
メディアワークス文庫はライトノベルを卒業した大人も対象としたレーベルということですが、やはりライトノベルを中心に扱っているように見えます。ラノベは嫌いじゃないんですが、表紙のイラストによってはちょっと購入に勇気が必要なこともありますね。

この作品は、本屋大賞にノミネートされ、2冊の累計販売数が100万部を超えたということで、ほとんど帯の惹句に乗っかって買ったものです。
若干リアリティには欠ける点はありますが、本格ミステリとしてなかなかいい出来だと思います。
舞台が北鎌倉周辺と身近だったこともあって、各シーンがすんなり入ってきたのもよかった。

やはり、本好きな人の本は読んでいて楽しい。この2冊に登場する本の中では坂口三千代「クラクラ日記」を読んでみたくなりました。

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2011年12月20日

失敗した

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宮部みゆき「名もなき毒」の文庫を買ったんですが、新書で読んでた。
ま、長く本読んでると、同じ本を何冊か買っちゃうこともあるわけです。

悔しいんで再読しました。
現在、新聞連載中の続編も楽しみです。


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2011年12月15日

加藤昌治「考具 ―考えるための道具、持っていますか?」

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アイディアを生み出し、それを企画にまで落とし込むための発想の道具を紹介した本です。
たとえば、カラーバス。
たとえば、ブレインストーミング。
たとえば、マンダラート。

インプットとアウトプット、発散と収束を繰り返して、アイディアを精緻化するプロセスは、今受講している人間中心デザインの発想の過程と同様です。
語り口が軽く、とりあえずやってみたらいいことあるかな?と思わせてくれる本です。



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2011年12月06日

フレドリック・ヘーレン「スウェーデン式 アイデア・ブック」

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北欧デザインっぽい、マリメッコっぽいデザインの表紙。
スウェーデンから届いた、アイディア、発想を豊かにするエピソードを集めた本。
直接何かの役に立つわけではないけれど、凝り固まったアタマをほぐして開いてくれそうです。

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2011年11月27日

仁木英之「千里伝」

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「僕僕先生」シリーズの仁木英之による別シリーズ。こちらもやはり中国ファンタジーです。

半人半妖の出自を持つ少年、千里は18歳にして見た目は5歳児という、一風変わった主人公です。
外見は幼児でも、中身は生意気盛り。武家の家柄を誇って高慢ちきな性格なんです。
そんな千里、蛮族の狩人バソン、少林寺の武僧絶海の3人が世界の命運を握る宝を巡って冒険を繰り広げる武侠小説なんですが、個人的には「僕僕先生」シリーズの方が好みに合っているかなぁ。


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2011年11月25日

式田ティエン「湘南ミステリーズ」

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まったく知りませんでした。この方−−。
地元の逗子、鎌倉を舞台とした連作短編集ということで、たまたま買ったんですけれど、なかなか面白かった。
一つのエリア、もっと言えば一つの砂浜を軸に交錯する6つのストーリー。
バリエーション豊かな人物設定はなかなかのものです。

歩いて5分で海、という場所に住んでいながら海とはほぼ無縁の生活を送っているwa+ですが、小説の中だけなら海が舞台でもいいなぁ。

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2011年11月06日

ポール・オースター「幻影の書」

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生きている英米文学の作家の中で、wa+が一番好きな作家です。

妻と子供を飛行機事故で亡くして失意の底にあった主人公は、半世紀以上前に失踪した無声映画の喜劇俳優ヘクター・マンの足跡を追うことで正気を取り戻していました。ヘクターが失踪するまでに撮られた映画を研究した本を上梓してしばらくしたある日、ヘクターの妻と名乗る女性からの手紙が届き、死んでいたと思われていたヘクターが生きていると知らされます。

オースターは、自分でも映画の脚本・監督を務めたこともあり、映画に対する関わりの深い作家です。
映画という形で、巧みに作中劇を導入しています。
そんな劇中短編「マーティン・ フロストの内なる生」は、スピンオフ?して独立した映画にもなっているそうな。

まあ、安心して楽しめる作品ですな。

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2011年10月29日

東野圭吾「ガリレオの苦悩」

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〈ガリレオ〉シリーズは久しぶり。
「容疑者X」のあと、警察への捜査協力を拒んでいた湯川准教授が再び事件解決に乗り出す。
TVドラマシリーズで柴咲コウが演じた女性刑事が、小説に逆輸入される形で登場することに。

5本の短編が収められていますが、1話2話はTVスペシャルですでに見たことがある話でした。
やっぱり事前に映像で見てしまうと、興が削がれますね。
何だかあまり楽しめませんでした。

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2011年10月27日

北村薫「鷺と雪」

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〈ベッキーさんとわたし〉シリーズの最終巻にして直木賞受賞作。
各巻に中編が3本ずつ、計9本の物語が紡ぎ出すのは戦争へと向かう大きな時代の流れ。
その奔流にはさしものベッキーさんにも抗うことはできないのです。
1巻「街の灯」の表紙に描かれている建物が、この最終巻の最後のシーンに呼応して、しめやかに物語の幕が下ります。
ああ、ここで終わるのか、と感慨に浸ってしまいます。続きは気になるけれど、知らなくてもいい。

ベッキーさんの物語は2巻でクライマックスを迎えてしまったので、この第3巻では活躍は控えめ。
最後に締めるところは締めて、かっこよく退場です。

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